百合染野書店(たぶん仮)

小説をgdgdやってきます seasonal girl

seasonal girls 4

豊橋(季高)節と似た大人しい少女がいた。名は鈴山真冬。

彼女は恐る恐る節に話しかけてきた。

 

一体何故。

 

 

夏の暑さが襲って来る。来るなと念じても襲って来る。
なら自分たちが対策するしかない。その最初の対策として衣替えだ。

山霊女子生徒も衣替え期間が終わり、ブレザーをはずして半袖Yシャツに変え、涼しい格好に。節も衣替え。と言っても高校に連れて行かれるときはいつも私服なのでさほど変わりもない。
でも衣替えだけでは灼熱の夏には耐えられない。
そのため授業も夏対策が施された。大概の教室でエアコンを使用することにすることや、体育の授業をプールの水泳に変更した。
この事を喜んでいたのは生徒だけではない。先生方もだ。大人になると体温を調節する機能が衰える。そうなると暑くてたまらない。老若男女暑さには勝てないのだ。そのため、エアコンの使用は大変ありがたいことだったようだ。
節も、学校の夏対策にありがたいと思っていた。が、反面困惑していた。その証拠に節の頬が紅潮している。


4時限目の授業終了の鐘が鳴り響く。同時に昼休憩開始の鐘でもある。
節は先ほどの授業も寝ていた。もちろん、授業を受けるつもりがなかったからだ。
豊橋君!起きて!昼休憩だよ!」
その声と同時に背中が叩かれた感覚があった。節が意識を取り戻して顔を上げると、頬を膨らませていた春沢が目に入った。
「もう、授業中いつも寝てばっかり。授業がつまらないって理由で寝ていいわけじゃないからね。」
「いや、つまらなくなくても眠くなる時はあるさ。あたしだって朝練のあとは眠たくて、1時限目の授業の内容なんか頭に入ってこないからな。」
この前の眼鏡サッカー女子=小夏飛鳥が話に割って入ってきた。
「小夏ちゃん、なんで豊橋君の肩を持つの。寝ていいわけないでしょ。」
「はいはい。だけど、次の時間は水泳だよな。早めに食べないと着替えができなくて授業に間に合わなくなるから急がないと。」
「そうだね。とりあえず机をくっつけて一緒に食べようか。」
前までは節は春沢と2人で昼休憩していた。だけど今はさらに2人増えた。小夏ともう1人…ブロンド少女だ。確か名前が辻井秋奈だったはず。そう節が思っていたら秋奈が2人分の弁当を持ってこちらに来ていた。
「お待たせー豊橋君、今日も弁当作ってきたよ。」
最近の節の弁当は教師用の弁当ではなく秋奈特製弁当を食べている。秋奈曰く、
「やっぱりバランスの取れた弁当のほうがいいと思うからね。それに、家庭科部としておいしいものを作る研究をしたいからね。」

いつの日だったか聞いた話だが、部活の話になった。春沢ESS部、小夏はサッカー部、秋奈は家庭科部に入部している。秋奈が料理部に入った理由が、
「親が全く料理得意じゃなくて、代わりに私が作っているの。だから、もっとおいしいものを作るために家庭科部に入部したの。」
とか話していた。その日から勝手に節の弁当が教職用から秋奈特製弁当になった。

秋奈から弁当を渡された。今日の秋奈特製弁当の中身は、おにぎり、豚キムチ、韓国風のサラダ、別の保温性の容器にはクッパが入っていた。製作時間は45分だと言っていた。そうとは思えないクオリティーだった。
「さあさあ豊橋君、食べて食べて。」
いつの間にか3人の女子高生と昼休憩を過ごす生活になっていた。でも、節は別に全く気にしていない。とりあえずご飯が食べられればなんでもいい。3人はたまに節に話しかけるが節は適当にあしらっている。

食事も終え、片付けをして3人に教室から移動させられた。プールサイドの日よけの場所に連れて行かれた。その後3人は更衣室に水着に着替えに行った。プールサイドに待つということは見学者扱いだ。節は授業をする気がないためいつも見学者だ。でも、もう一人毎回見学者になっている女子高生がいた。黒髪ロングで左耳の近くの髪を2本のピンで留めている。彼女は日よけの場所にあるベンチに座り、教科書とルーズリーフとシャーペンを出して何か作業を始めた。

5時間目の授業の鐘が鳴り、水着姿の女子生徒達がプールサイドにやってきた。髪が長い生徒は髪留めで一つにまとめているためうなじが見える。生徒によっては足がすらっとして綺麗なラインを描いていた。また、高校生は成長期の時期ということもあり胸がエロく感じる。ストレッチの時には人によって胸や足が強調される。プールの水に浸かった状態でもただ濡れただけなのにエロさがある。先生に見られていない間に女子同士で胸を触り合っている。
そしていつも一緒にいた3人も通常の制服姿と何か違っていた。
春沢は小学校が同じだったらしいが、正直節は何も覚えていない。そのため彼女の水着姿も覚えていない。だが、胸は膨らんでいた記憶も無く、うなじを見せていた記憶もない。
小夏はサッカー部に入部しているためなのか水着姿が似合っており、クールだった。ただ、いつもと違うところは眼鏡をつけていないことだ。何か違う小夏というのも違和感がある。
秋奈はほかの生徒と全く違っていた。肌は純白で胸も誰よりも大きい。もう高校生を超えて大人じゃないのかと思うぐらいのスタイルだった。

節は小学生の時には女子の水着姿はまったく気にしていなかったが、今になると年頃なのか恥ずかしくなっていた。そのため日よけの場所にあったベンチに座った。寝ようと考えた。
隣にはもう一人の見学者がいたが、寝ていればその少女の存在を気にすることもない。問題はプールにいる女子生徒が騒がしいことだった。それが原因で寝ることができない。

授業時間が半分過ぎた。まだ寝れていない。だが、必死に寝ようと目を瞑っている。
突然、隣の席から去ったような足音が聞こえた。数分後また戻ってきた足音が聞こえた。それからは隣から音は聞こえなくなった。


「…豊橋さん…ですよね。」
いきなり話しかけられて驚いた。閉じていた目は急に開いた。が、口は開かなかった。
あまり相手を見るつもりはなかったが、少し見えてしまった。なぜか彼女は赤らめていた。あと、首の右側に抉られていたような痕が見えた。
「…その…体育……参加しないのですか…?」
節はうんともすんとも言わなかった。
「…病気とか…持っているのですか……?」
これにも無言だった。
「そうですか……えっと、……言いづらいのですが……何故…引きこもり……したのですか…?」
節は1ミリも動かなかった。
「………私……鈴山真冬と申します……。…豊橋さん……毎月1回……私の病院に……来ていますよね…?」
少し節は動いた。何故病院の通っている頻度を知っているのか謎だった。
「……私…鈴山病院の娘です…。…豊橋さんのことは……母から……少し聞いています……。」
節の疑問はすぐに解決した。
その後1分無言になった。
「…あの……体を自由に動かせられるなら…参加したほうが……」
何故か少女は体育の参加を進めていた。節はまた疑問ができてしまった。
「……私……5年前に事故に会いまして………それからは………体育は参加禁止になったので……。…体を動かせられる人は……いいなって……」
話しながら右の首にある痕を手で覆った。
「…考えておく。」
節は短い返事をした。それからまた2人は黙ってしまった。
「……ごめんなさい…。……私……幼い時から口下手で……コミュニケーションを取るのが苦手なのです……。…家族と話すのは……もうちょっと流暢に……話せられるのですが………」
節は何か似ていると感じた。コミュニケーションが苦手なのは自分もそうだ。
でも、彼女のほうが話す言葉数が多い。病院にいるときの節は50文字ぐらいだが、先ほどの話を聞いていると既に50文字は超している。流暢という言葉を使う時点で絶対負けている。小学生と高校生ではボキャブラリーが違いすぎる。

「…チャンスがあれば………何事もやってみると……いいですよ。…失敗してもいいです…。………後々後悔するよりかは……何千倍もましです……。……私も………そう心の中に……言い聞かせています……。…引っ込み思案なところも……直せたらなって……」

のんびりとしたぎこちない会話によって時間は過ぎていった。
授業終了の鐘が鳴った。気のせいか鐘の音も遅く感じる。
水着を着た女子生徒達は更衣室に移動して制服に着替えた。

5分後に3人がやってきた。水泳後の所為なのか若干制服が濡れており、下着が透けていた。節は目を反らした。鈴山は少し笑っていた。
「お待たせ豊橋君」
「次の授業まで時間無いから急いで教室に戻るぞ。」
「後でスポーツドリンク飲もうか。」
「あの!…その……ちょっといいですか?」
黒髪ロング少女が大声を出した。3人と節は驚いた。いつも引っ込み思案の彼女が大声を出すのに違和感があった。
「どうしたの?鈴山ちゃん」
「……3人は…豊橋さんの誘導係…ですよね。」
「うん。そうだね。」
「まあ、春沢は強制的に先生に決められたけどな。」
「私と小夏ちゃんはなんとなくやってみようかなって。」
「……そう…ですか………。」
何故そのことを聞いたのか。節でさえも不思議を感じた。
「……あの…その係………私がやっても!……いいですか?」
途中まで力強かったが、その後を躊躇してしまったようだった。
「いいよ。大歓迎だよ。」
「ま、大変なこともあるけどな。」
「でも、やっていて損はないよ。」
「…あ、ありがとうございます!……その…えっと………どう申せればいいのか…」
「そんな敬語を使わなくてもいいよ。」
「同じ学年だしな。硬くならなくてもいいだろ。」
「そうそう、リラックスリラックス。」
4人はとても盛り上がっていた。節はまた1人増えたとちょっと面倒くさそうだった。


春沢七海
小夏飛鳥
辻井秋奈
鈴山真冬

名前に季節が入っているのは偶然か。そして豊橋節の本当の名前は

季高節

このことも偶然なのか。それは誰も知らない。


「さて、あと3分だ。急いで教室に戻るぞ。」
小夏は節の体を抱え上げて教室へ向かった。春沢は時計を見ながら時間を気にしていた。辻井は小夏の水着が入っている荷物を持って移動した。鈴山は小夏の後ろでサポートしている。
節は…何もやっていない。


何かとおかしいところもあるがそれがいいのかもしれない。春夏秋冬。一日一日が違うから。でも、どことなく似ているところもある。そんな日常が。
節は今後、何を得るのか。それは誰も知らない。

 

続く

 

 

あとがき

4000文字が自分にとってちょうどいいことが判明。

どうも百合染野です。

今回は一日で頑張って書きました。理由としては、この前の土曜が忙しくて投稿出来ず気づいたら1回分ずれていたので昨日3話を、今日4話を書きました。

さて、この4話で主要人物はそろいました。文章に書いてある通り全員季節が関係しています。ネタバレをすると名前に深い意味はありません。なんとなくです。

元々ギャルゲーとかをもとにして構造を考えていたため、攻略(?)女子は4人と考えていており、属性とかも一人一人違うものにしています。ただ、主人公の季高節はギャルゲーとかにいなさそうな感じのものにしています。ハーレム状態であってもうれしがるどころか心を閉ざしているためまず人と関わるのが嫌いとか、話しかけられても全く返答をしないとか、自分でも酷い設定だと思っています。今回の場合、主人公の台詞が「考えておく」だけですからね。酷い。今後の課題は主人公をどうやって嫌われないキャラにしていくかですね。でも、ギャルゲーみたいに「やるときはやってやるよ」ってキャラにさせたりしないようにしていきます。

出来れば、早めに各登場人物の設定を乗せたいところだけどいつになるのかわかりません。できれば今月中に投稿したいところです。

 

今回あとがきが長くなりました。感想、文章の誤りのご指摘お願いします。

 

よろしければもう一つの小説、「異能力の使い方」もよろしくお願いします。↓

yurizomeya.hatenablog.com