百合染野書店(たぶん仮)

小説をgdgdやってきます seasonal girl

seasonal girls 6

豊橋(季高)節は引きこもってから勉強に手を付けていない。

鈴山真冬の勉強会が何故か自分も勉強する羽目になってしまった。

 

自分と彼女は似ているような気がする。根拠はないが

 

 

約15分休憩をして本題の勉強会を始めることにした。女子2人は張り切っていた。
春沢七海は学年トップクラスの優等生だ。
鈴山真冬は学年ではなく、クラス内でワーストクラスだ。
お互い何らかの責任をもって取り組もうとしていた。
「真冬ちゃんはどの教科が苦手なの?」
「えっと…この前赤点を取ってしまった…現代文と古典、…赤点にはなりませんでしたが…いつも危うい英語が苦手です。…ほかの教科は平均ぐらいです」
山霊女学院は、県内に3つある女子高のトップクラスだ。大概のテストの平均点は70点台で赤点の基準は40点以下。そのため、赤点を取る者はクラスに1人か2人程度である。その中に文系科目が破滅的な真冬が入っている。ちなみに節は特別扱いで期末テストを受けていない。
「質問だけど、何でその教科が苦手なのか理由とかある?」
「そうですね…。私…小さいころから…話下手で…。自分の伝えたい気持ちも…うまくいかないので…たぶん…それが原因だと…」
「なるほどね…。それなら地道に本を読むことと、豊橋君と話すのはどうかな?毎日コツコツとやっていけば少しは話すのが得意になるよ。それが国語力にもつながると思うし。英語は私に任せてよ!ESS部として頑張って教えるから。」
この前の期末試験で、英語のテストが学年唯一の100点満点を叩き出した春沢が胸を張っていった。
「さて、始めようか。とりあえず国語を中心的にやってみよう。現代文は日ごろから文字に親しんでいるかで点数が変わるから、その辺は本を読んでどうにかしよう。古典と英語はまずは単語を覚えるのがいいかな。予習の時に使っている英語と古典の単語帳を持ってきてくれないかな?」
「は、はい…」
真冬は本棚から2冊の単語帳を持ってきた。
春沢は、15分間に単語を30個覚えその後にテストを行うように真冬に指示した。
真冬はその作業を集中して行った。

その間、節は特に何もすることもないためうたた寝を始めた。
「もう、起きて!豊橋君!」
春沢の声と拍手でまた起こされた。両手に筆記用具と英語の単語帳を持っていた。
豊橋君も少しは勉強するよ。この時期に脳を使わないともったいないよ。というわけで真冬ちゃんと同様のことをしてもらうよ。」
何故そんなことを。心の中にはそのことでいっぱいだった。節は仕方なくだがその作業を取り組むことになった。この高校に入ってから初めて勉強というのに立ち向かうことになった。最後に勉強したのは引きこもる前かと思い出していた。

節と真冬が英単語の記憶作業に集中している間、春沢は小テストを作成していた。
時折、真冬からの質問を答え、節が寝ていることを注意していた。

15分が経ち、テストを受けることに。
結果は、真冬は30問中18点、節は30点中7点。いい点数ではない。
「2人ともやり直し。25点が合格ラインだよ。」
「…苦手教科でも…容赦ないですね」
「自分でもそう思うわ。だけど、単語を覚えていないと何もできないのは事実。最悪、英語は文章ができなくても単語が分かっていれば何とかなる場合もあるよ」
「…そうですね。…豊橋さん…お互い…勉強は苦手ですが……頑張りましょう」
初めてポジティブな真冬を見た気がした。
ただ、節は何も返答しなかった。
「返事は?」
春沢は節を少し睨んでいた。
節は少しため息をつき、
「…うん…頑張る。」
「うん。でも、溜め息はいらないかな。さあ、もう一回やってみよう」

2回目のテストは、真冬は26点、節は18点だった。
「うん、まあいい感じだね。豊橋君も1回目よりはよくなったね。でも、もう一回。次で決めよう。真冬ちゃんは、次は古典をやろうか。」


その作業を繰り返すうちに時計の短針が7の数字を指していた。
「もうこんな時間か。豊橋君を高校に戻さないといけないからお暇しないと」
「…一緒に着いて…行きましょうか」
「大丈夫だよ。バスに乗って高校に戻るだけだから」
「…そうですか」
真冬は少しがっかりしていた。だが数秒後には微笑んで、
「…今日は…ありがとうございました。また明日…学校で…」
何か隠していたような気がした。…何か似ている。何故…。
「うん、また明日ね」
「また…明日…」


バス停に着いたもののまだバスが来ない。ほかにバスを待っている人も誰もいない。
「お疲れタカ君!勉強大変だと思ったけどよく乗り切ったね」
春沢がいつものリミッターを解除していた。
「ごめんね。ちょっときついこと言っちゃって。私なりの飴と鞭だったけど痛かったかな?」
「……まあ」
「そうかあ、今度はもっと優しく教えるからね。お姉ちゃんに任せなさーい!」
いつから姉ちゃん設定がついたのだろう。節は心の中でツッコミを入れていた。
春沢は高らかに笑っていた。約10秒笑いやっと静かになった。
「ところで、タカ君は夏休みに予定とか入っている?お盆以外に」
「…特にない」
何もかも空白だ。
「なら、今度木曜日に土桜西小学校行かない?あと、天之重保育園も。そこに行けばもしかしたら思い出せると思うから。どうかな?予定は大丈夫?」
土桜西小学校と天之重保育園は節も通っていた。彼女はいた覚えはないが、誘って来るということは彼女もそこにいたということだろう。
「…帰ったら確認する」
義父母に夏休みの予定を訊くつもりはない。どうせ断るつもりと考えていた。
節はいつも、逃げ道を見つけようとしている。
「そっか。あ、前から思っていたことだけど、タカ君って携帯持っているよね?電話番号交換しない?」
「…やだ」
「やだってことは携帯持っているってことだね」
まるでうまいことこちらの返答を誘導しているようだった。
節は逃げることが出来ない。
春沢もなるべく節を逃がさないようにしていた。
「で、携帯はどこにあるの?…と言ってもその膨らんでいるズボンのポケットの中だよね?ていうか、ポケットから少しはみ出ているから携帯って確定だね」
春沢は手を伸ばしポケットから携帯を取り出そうとした。節はそれをかわした。が、春沢のほうが考えは上だった。すぐに後ろに回りこんだ。そして即座に抱き着き、節の動きを封じた。
「そんな嫌がることないでしょ。携帯番号交換することなんて。…まさか、携帯の中にあんな画像やこんな画像みたいのが大量に入っているとか!」
と春沢は揶揄いつつ笑っていた。節はその上段に飽きていた。
そもそも節の携帯の中身もほぼ何もないようなものだ。義母と義父とその他数名。義母と義父が、万が一のためと言っていたが全く使っていない。携帯が充電切れに気づかないこともざらにあるほどの使用回数の低さだ。人とつながることをやめた人間にとっては、携帯なんぞただの箱なのだ。
「もう恥ずかしがり屋だなぁタカ君は。それに困ったさんだね。まあ小さいときからそうだったからいいけど」
節はそのことを全く身に覚えがない。
「こんな困った弟のタカ君を、姉である私がどうにかしてあ・げ・る」
やはり勝手に姉妹設定をつけている。
「…え」
そこには先ほど別れたはずの真冬がいた。頬が火のように赤くなっていた。それに、いつものおしとやかさがなくそわそわしている。
「…あの、お二人って…その…えっと…なんて言うか…あの…」
真冬はかなり混乱している。
「ちょっと待って!落ち着いて真冬ちゃん!」
「でも、先ほど『弟のタカ君』とか…って…。あと春沢さんが豊橋さんを…後ろから抱き着いていて!……そのような関係だったとは!」
真冬の頬はもう火ではなくマグマみたいな赤さだった。
節は全くついていけなかった。
「いや、だからこれは」
「決して…その関係は学校で言いませんから!…秘密にしますから!」
真冬が暴走に発展していた。普段大人しい子が暴れると止めるのは難しい。
「私…今までお二人は…特別生徒と学級委員長という関係だと思っていましたが…本当は義姉妹関係であったとは!」
「待って!まず私たちそんな関係じゃないよ!幼馴染だよ!」
「幼馴染でも…体を許し合っている仲だとは…」
「私たちそういう仲じゃないって!」
「でも…もしかすると将来そうなるということですか!?」
「そういうことじゃなくてよく聞いて!」
春沢は1分で2人の関係を説明した。
先ほどまで混乱していた真冬は理解したからか安堵に変わった。
「…そうでしたか。…取り乱してすみません」
「いや、勘違いさせてしまった私にも問題あるから」
「でも…春沢さんの…意外な一面が見えて…面白かったです」
「意外な一面?」
「…いつもは豊橋さんに手厳しいですけど…プライベートになると優しいですね」
今度は春沢が頬を赤くなり始めた。
「そ、そう…かな」
「ええ…それに…あのようなスキンシップを…お二人の時のみするとは…」
「あ、あれはスキンシップじゃなくてタカ君を抑えるために!」
「その『タカ君』って呼び名も…学校では言わないですよね…」
いつも自信満々の春沢が話し手の目線を反らし黙っていた。
真冬は少し笑っていた。
「それで、真冬ちゃんはなぜここに?」
春沢は冷静さを戻そうとしたのか話題を変えた。
「…そうでした。春沢さん…家のカギを忘れていましたよ」
真冬はポケットから春沢の家のカギを渡した。
「そうだったの。ごめんね、ここまで持ってきてくれて」
「いえ…とんでもないです。まだバスが…到着していなくてよかったです」
先ほどまで二人の顔が赤いのがウソだったかのように白く戻っていた。
「そういえば…先ほどの事ですが…私も…電話番号…交換したいです」
「あ、そういえば!タカ君、携帯貸して!」
節は渋々携帯を2人に渡した。2人も女子がいたら流石に逃げられないと判断したのだ。
2人は節の携帯を見た。
「…充電切れ…ですか…起動しませんね…」
2人とも呆れながらも少し笑っていた。

明るいライトの光が3人に当たった。バスが来たのだ。
「じゃあまた明日ね。ってこれさっきも言ったような」
春沢は違和感を持っていたようだ。
「また明日…学校で…。春沢さん…た、タカ君」

 

続く

 

あとがき

今回ピッタリ4000文字(=゚ω゚)ノいいねぇ(=゚ω゚)ノ

百合染野(ゆりぞめや)です。

今回は初めての何もない回です。まあ、日常系ですし。

たまに思うことなのですが、日常系アニメってなんで飽きないのでしょうか。

その中の答えなのかもしれないのですが、それは季節というものがあるからだと僕は思っています。

春にはお花見、夏には海、秋には○○の秋、冬は雪。(秋だけ適当な気がするがきにするな)

こういうのがあるからこそ日常系というのは飽きないのかもしれないです。

なんとも説得力のない文章だこと( ゚Д゚)

そして、そろそろ各キャラクターの設定を投稿しようと思います。

 

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