百合染野書店(たぶん仮)

小説をgdgdやってきます seasonal girl

seasonal girls 10

最近は体育祭の話で話題がいっぱい。だが節は学校側からの願いで参加不可能。

そんな節に女子4人が地域運動会に誘って来る。

 

 

 

9月初め。2学期の最初の学活で取り上げられた話題は、
『第67回 山霊女学院体育祭  出場種目メンバーを決めよう』
と黒板に大きな文字で書かれていた。
山霊女学院の体育祭は
1年2組クラス全員はてんやわんやとしていた。
運動神経が良い者はどの種目で点を稼ごうか真剣に考えている。
運動音痴の者はなるべく体力を消費せず、点数加算が少ない種目を選択することを優先した。
とはいうものの両者の意見は嚙み合わず、1時間かけての学活では全てを解決はしなかった。


種目選択の大戦況の1時間、節は通り机に寝そべっていた。
女子高校に入らされたため、節はイベント類の参加は学校側で検討していたそうだ。
検討の結果、体育祭は節の参加は禁止とされた。
大きな理由として、体力面に差がある問題がある。男性と女性では身体的に差が大きい。
この高校は女子高なので当然女子しかいない。そうなると男子である節は有利になってしまう。
このことはクラス対抗競技の場合、節たちがいる「1年2組」が断然有利になってしまう。
それはうちのクラスにとって好都合だが、他クラスにとっては不満に感じる要素となる。
そのため、節は体育祭の参加は禁止と言い渡された。
ちなみに文化祭は参加可能と言い渡されている。特に男女の差がないからだ。
その話を義母(かあさん)から聞いた省エネ主義の節は、別に何とも思わなかった。
仮に体育祭の参加が可能だとしても、やる気が全くないのだ。
体育祭で何か得たとしても、特にうれしいとも思わない。


「タカ君、起きて。休み時間だよ」
節の体を揺さぶって起こしたのは春沢だった。
「呑気な奴だな」
「でも、マイペースって悪いことじゃないと思うよ」
「いい夢は…見えましたか…?」
といつもの4人が節の机を囲んだ。
そこでようやく節は起きた。鐘が鳴ったことに気が付かなかったようだ。
でも少し不満を顔に出していた。休み時間だからこそのんびりと寝たいところだったというのに、彼女たちは邪魔してきたのだ。だからと言って反抗しようとも思わない。それはさらに無駄なエネルギーを消費してしまうからだ。
節はのっそりとナマケモノみたいにゆっくりと体を起こす。正面には、自分と真逆のようにはきはきとした少女=小夏飛鳥がいた。
流石運動部ということもあり、体育祭もかなり張り切っているようだ。
体育祭は2週間後だというのに、ここでエネルギーを余っているのは不思議に感じた。
以前の自分はそうだったのかもしれない。
「節だって小学生の時はサッカー馬鹿だったんだろ?それなら体育祭ってイベントは、自分の普段の体力を生かすビッグチャンスイベントじゃないか!」
「でも小夏ちゃん、それはタカ君が小学生の時であって、今はそんな体力はないよ」
弁解を諮ったのは節と小学校が同じだった(らしい)春沢が話した。
「うーん。でもなあ。運動しないってことが、運動が嫌いとも言えないだろ」
節自身、今でも運動は嫌いではない。ただ動く気力が失ってしまったのだ。
人間、さぼり続けているといつしか気力が消えていく。そんな感じだ。
「でも、結局タカ君は学校側から禁止と言われているから、私たちがどういっても無駄な気がするけど」
「じゃあ、地域の運動会に出てみないか?」
小夏の一声で、その手があったかと女子3人は脱帽していた。節は頭にクエスチョンマークを浮かべる。
何故自分が女学院の体育祭に出られないからって、彼女たちは地域の運動会に参加することに必死になっているのか。ほっとけばいいものだというのに。誰かと関わることが嫌なことは彼女たちも知っているはずだ。それを知っていて、ただちょっかいをかけているように見える。
しかし、彼女たちの話は止まらなかった。
「じゃあ放課後に、市民運動会が近日行われるところを調べよう!」
「あたし、すぐに部活行かないとなあ」
「提案した小夏ちゃんが調べなくてどうするの!」
「へいへい。じゃああたしが責任もって帰宅後に調べるから。10時ぐらいにメールするわ」
了解と女子3人は口を揃える。
数秒後にチャイムが鳴り、節の周りにいた女子たちは、それぞれ自分の席に着く。
節はまた眠りについた。

 

8時半。節と義母は帰宅。
「お帰り2人とも」
玄関に入ると義父の声が聞こえた。音源からしてリビングからだろう。
リビングに入ると義父が2人分の夕飯の準備をしていた。
義父は大学生時代1人暮らしだったらしく、義母の帰りが遅いときは夕飯を作っている。
ただ料理はだいぶ適当であり、義父が作る場合は大概炒め物である。余程にやる気があるときは炒め物以外も作る。今日は少し疲れていたので、チンジャオロースと白米とインスタントみそ汁だ。
義母と節は颯爽と荷物を自分の部屋に置き、リビングに戻った。
義母と節は席に着き夕飯を食べ始める。
「冷めないうちに食べろよ」
義父はにこやかに2人を見守る。
節は監視のように見えてしまって仕方なかった。見られているからと言って義父が嫌がらせをしてこないのは知っているが、まじまじと食事姿を見られるのも気が引ける。だからと言って義父に見ないでと頼むことでもないが。
「成長期なんだからいっぱい食べろ。男だろ?」
義父は歯を見せて満面の笑みで言う。
「男女差別…」
義母が小声で言った。
「なんでそれにつながるんだ…」
「女性だって食事をたくさん食べたほうがいいでしょ」
「へえ、大学時代は『ダイエットは女性に生まれた宿命だ』とか何だ言っていたのに」
「さあ、そんなこと言ったかしらね」
義母と義父は他愛ない会話を続ける。よくあることだ。仕事の愚痴とか女学院にいるときの節の様子とか今後の予定とか、この2人は話が途絶えることはない。たまに喧嘩みたいなことになるが、すぐに何もなかったように仲良くなる。
それを無視して節は食べ続ける。
「そういえば今度、節が生徒4人と市民運動会に出ることになったけど」
「ほお、節がまた外に遊びに行くのか」
『また』という言葉に少し節が動揺する。前は花火大会に強制的に連れて行かれた。
今回も強制的だが、彼女たちが何か企んでいるような気もする。
「詳細はまだ決まってないみたい。まあ4人とも張り切っていたみたいだから、ちゃんと計画を練ってくれるはずよ」
「なるほどな。まあ外に出るのはいいことだ。そうと決まれば今後の料理は体力をつけるために肉とかを多くしないとな」
「節が全力になると思う?」
「もちろん思わない」
2人は揃えてふっと笑う。2人とも薄情な考えを持っているようだ。
と言っても図星だから言うことはない。

約30分かけて夕食を食べ終わり、風呂場へ向かう節。15分かけて風呂から出て自分の部屋に閉じこもった。時計を見ると9時45分。
なんとなく気持ちを落ち着かせるために、窓から空を見てみる。今日は三日月、雲も少なくてはっきりと見える。
と言っても新聞を少しは読んでいるため今夜が三日月なのは知っている。テレビ一覧と天気予報と月の予報がメイン、たまに興味を引くような内容があれば読んでいる。
これが他人からは意外だったからか、職員室で義母を待っているときに新聞を読んでいると女子生徒や先生から驚きの声が出てくる。これまで一番驚いていたのは幼馴染だった春沢七海だった。
なぜ彼女が一番驚いていたのかは検討が付く。節の脳内の小学生の記憶は一欠けらもないが、小学生の時から新聞を読んでいたのかと言えば答えはNO。あのときから読み始めるようになった。あの時とはいつかは節のみが知る、他人に言いたくないことだ。
そのためか主要5教科の中で国語がまだましなほうだった。だとしても1年ワーストクラスの鈴山真冬とどっこいどっこいの点数…つまり赤点になるか否かの境界線近くの点数だ。
もっとも節は『入学』ではなく『入る』という制限付きでテストもない。関係はないのだ。
節は月をずっと見続けていた。月というのはどことなく吸い込まれるような輝きがある。たまに見ると面白い。

気持ちが落ち着き、部屋の照明を切って布団に入った。今日はぐっすりと寝られるだろう。やわらかい布団の中で少しずつ眠気が増幅していく。まるで海に沈むようにゆっくりと…。
と急に耳にメール着信音が聞こえてきた。そういえば小夏が10時ぐらいにメールするとか言っていたのを今思い出した。節は目を細めながらメールを確認した。
『来週の土曜の10~17時に土桜市民ホールにて市民ホール開催ヾ(≧▽≦)ノ
あたしが責任者として受付するから参加する人は返信して~(^^♪
(節は除く、てか強制的に連れて行く( `―´)ノ)
あたしはその日は部活がないから行ける(/・ω・)/わしょーい
場所は後で画像送る(=゚ω゚)ノ                      』
節には在れていない顔文字の数々。そして強制的に行くことになってしまった。

 

 

 

 

あとがき

注意 只今11月半ばです( ゚Д゚)

どうも百合染野(ゆりぞめや)です。

最近わけあって全然出せなかったです。

その結果3本ぐらい×2本書けてないです。(×2はこれともう一つの小説のこと)

当初は原稿用紙に下書きしたあと、それをパソコンに入力して誤字脱字がないか確認していました。今は直接脳で考えたことをパソコンに入力しています。

そのため誤字脱字とかが多いとか、表現が重複したりとデメリットばかりになってしまってます。

さあ、出来ればもうためたくない。頑張って入力するんだ自分( ゚Д゚)

 

 

 

感想と誤字脱字はコメントに入力してくだされば私は喜びます。

↓もう一つの小説も遅刻真っ最中です。

yurizomeya.hatenablog.com